リーダーのためのコーチングスキル(谷益美)

コーチングという言葉は人事・HR業務に携わるようになってから初めて聞いた言葉ですが、リーダーのためのコーチングスキルを読んでからは、これは仕事でも家庭でも役に立つ、優れたノウハウだと思うようになりました。

そもそもコーチングとは・・・

コーチングとは引き出すコミュニケーションと言われていますが、会話を通して、相手のヤル気や考える力を引き出すこと。そして、自発的な行動を促し、相手の成長を支援することです。

特にこれからの時代、チームや組織のリーダーに求められる役割はより大きくなっていくと思いますが、強制的な影響力ではなく、性別・世代・価値観の違いなど、様々な多様性を持つメンバーから力を引き出して、強く、しなやかなチームを作り上げるためには、相手が自ら動き、成長させられるリーダーが必要になっています。

なので、リーダーと言われる存在の人がコーチングを実践することができれば、その周りには自律的に考えて行動できる人材が増え、そのチームや組織も強くなっていけるのではないでしょうか。

指示待ち社員の集まる組織ではなく、自ら動く組織を作り上げるために、コーチングはその一つの手段になると思いますし、コーチングスキルの対応範囲は、チームメンバーだけでなく、上司との関係作り、顧客対応やクレーム対応、さらには家族や夫婦関係などプライベートに至るまで、人と関わる全てのシーンで活用できるものです。

ぜひ、普段の仕事や生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。

ビジネスコーチングの成功の鍵はリーダーとしての基盤を整えること

組織やチームのメンバーと仕事をする際にはリーダーは、その仕事ぶりや普段のコニュニケーションの取り方など、全てを注視されています。

「お前に言われる筋合いはない」と思われるリーダーより、「この人が言うなら仕方がない」と思われるリーダーになりたいですよね。

そのためにはまず、リーダーとしての人間力を磨くことも大切なこと。

名経営者のジャック・ウェルチをコーチングしていたことで知られるエグゼクティブプロコーチのマーシャル・ゴールドスミスは、リーダーが改善すべきこととして以下の「20の悪弊リスト」を有名な著書の中で挙げていますが、リーダーの方は当てはまっているものが無いかチェックしてみてください。

  1. 極度の負けず嫌い。
  2. 何かひとこと価値をつけ加えようとする。
  3. 良し悪しの判断をください。
  4. 人を傷つける破壊的なコメントをする。
  5. 「いや」「しかし」「でも」で文書を始める。
  6. 自分がいかに賢いかを話す。
  7. 腹を立てているときに話す。
  8. 否定、もしくは「うまくいくわけないよ、その理由はね。」と言う。
  9. 情報を教えない。
  10. きちんと他人を認めない。
  11. 他人の手柄を横取りする。
  12. 言い訳をする。
  13. 過去にしがみつく。
  14. えこひいきする。
  15. すまなかったという気持ちを表さない。
  16. 人の話しを聞かない。
  17. 感謝の気持ちを表さない。
  18. 八つ当たりする。
  19. 責任回避する。
  20. 「私はこうなんだ」と言い過ぎる。

まず変わらなければならないのは、メンバーではなくリーダーです。

リーダーのあなたは、いかがでしょうか・・・

ビジネスコーチングならゴールセッティングを重視

ビジネスコーチングの場では、仲良しグループで終わってはいけませんので、やはりしっかりとしたゴールセッティングが必要です。

明確なゴールであるKGI(Key Goal Indicator)の設定

成果を生み出すチームの一員であるメンバーを育てたいなら、必要なのは個人とチームの明確なゴールを決め、どこを目指すのか、方向性をはっきりと示すことが必要です。

ただし、全ての業務が数値化できるわけではありませんので、未来の理想的な姿やチームの在り方などを共有して、メンバーの成長意欲を高められるようなアプローチが必要になってきます。

成果のためのマイルストーンKPI(Key Performance Indicator)の設定

ゴールセッティングを行った後は、それを具体的に実現していくために役立つ指標であるKPIの設定を行います。

組織や事業、業務の進捗度合いを測るKPIを設定することで、ゴールに向けて今どのような状態になっているのかが明確になり、メンバーも行動しやすくなります。

コーチングのフレームワーク「GROWモデル」とは?

コーチングはまずは聞くのが基本になりますが、ただ単に相手の話しを聞いているだけでは物事は一向に進むことはありません。

そこで力を発揮してくれるのがコーチングのフレームワークであるGROWモデルです。

  • Goal(理想の未来)
  • Reality(現状)
  • Options(行動の選択肢)
  • Will(意志)

の4つの単語の頭文字をとったものですが、以下のフレームワークを意識しながら相手の話しを聞き分け、思考を引き出していくコーチング手法で、現状認識と問題発見、それに対する課題設定と解決策の抽出、という流れで対話を進めていく事になります。

さらに詳しくは、ぜひ本を読んでみてください。

ソーシャルスタイルの4分類を理解して相手に合わせたコミュニケーションを

このソーシャルスタイル分類は私も職場で有効活用していて、4分類(ドライビング、エクスプレッシブ、エミアブル、アナリティカル)に人を分類することで、特に、社長や上司との対話が以前よりも楽になりました。

これについては、ソーシャルスタイルという本を読んで別の記事で紹介していますので、そちらをご覧ください。

職場でのコミュニケーション能力を高めるソーシャルスタイル仕事術

いつでもどこでも、リーダーのためのコーチングスキル

仕事の場でも友人関係でも家庭内でも、誰かと対話をする機会があれば、そこでコーチングを実践することは可能になりますので、常に意識しながら、ここは相手の話しを聞く立場だなと判断し、相手の悩みや目標やゴールなど、その人が気付いていない思考を引き出すお手伝いをしてみてはいかがでしょうか。

それができるようになれば、組織やチーム、家族関係もより上手く回っていくようになると思いますよ。

まずは基本の聞くスキル

大事なことは、「聞き出す」「聞き切る」「聞き分ける」の3つ。

まずは聞き上手になるために必要な7つ道具がこちら、

ポジション、アイコンタクト、うなずき、相槌、話しを促す、オウム返し、ペーシング

次に、聞き切るために必要なのが、

絶対に途中で口を挟まないこと、聞く、聞く、聞く、です。

そして最後が聞き分けるスキル、

GROWモデルを意識して話しを整理していけば、相手の言葉の奥に潜む思いを拾揚げられるようになるはずです。

この聞くスキルは非常に大切なので、コーチングスキル(谷益美さん著)の本で詳しく読んでみてください。

気付きを促す質問のスキル

コーチングと言えば質問、ということになりますが、大事なポイントは5つです。

  • 質問するのは「あなたのため」ではなく「相手のため」です
  • 気付きはあくまで「相手の中」にある
  • 質問の前に相槌。まずは相手の話しを受け止めてから
  • 質問はシンプルに、「一度に一つ」と心がけましょう
  • 質問したらお静かに、「沈黙」が相手の本音を引き出します

そして、質問するのに有効なシンプルかつ便利なフレーズは以下の3つです。

  1. 「具体的に言うと?」
  2. 「例えば?」
  3. 「他には?」

さらに質問をしていく上で意識することは、

「どうしてできないのかな?」ではなく「どうしたらできるようになるかな?」

と言ったように、否定的な回答ではなく前向きな回答がしやすい質問をしていくと、相手も自然に自分で解決策を考え、導き出すことができるようになります。

この質問のスキルも非常に大切なので、 コーチングスキル(谷益美さん著) の本で詳しく読んでみてください。

相手に響く伝えるスキル

コーチングの基本は聞くスキル、引き出すコミュニケーションですが、相手に考えさせ、意見を引き出すためには、ときにはコーチ側からの働きかけも必要になります。

今から何の話しをするのか、タイトルをつけて話してあげると、要点も明確になるので、相手に伝わりやすくなります。

さらに、「事実ベースでのフィードバック」「見てるよを伝える褒め言葉」「褒められ下手にはIメッセージ」「仕入れて使おうボキャブラリー」など、伝える上で大事な要素がありますので、これもまた大事なことですから、 コーチングスキル(谷益美さん著) の本で詳しく読んでみてください。

GROWモデルを活用したコーチング

本の最後では、GROWモデルを活用した2つのコーチングの事例が紹介されていますが、これもやはり本で読んでもらった方がわかりやすいと思いますので、ぜひコーチングスキルの本で詳しく読んでみてください。

家庭内でも使えるコーチングスキル

コーチングスキルの本を読んでから、人事面談や社員からの相談を受ける時、それこそ飲み会の場などでも、コーチング的なアプローチは相手の気持ちや考えを引き出すのに良い方法だと実感するようになりました。

が、さらに強く実感しているのは、実は家庭内でも有効に使える場面が沢山あり、特にいま高校三年生になる娘からアルバイトでの人間関係や進路相談を受ける時、今までなら親の経験で余計な昔話を語ることが多かったのですが、最近は娘の立場になって聞くこと優先、質問を投げかけること優先で、娘が自分で考えて答えを出せるよう、娘の立場になって冷静に会話をできるようになりました。

たまにはお互い感情的になって言い合いになる事もありますが・・・

娘は一時期、高校一年生の時に家族とも上手くコミュニケーションを取れない時期がありましたが、今では平日でも家族全員一家団欒で夕飯時を楽しめるようにもなったので、もちろんコーチングスキルだけではありませんが、私にとって良い効果があったと思っています。