【お勧め本】リンダ・グラットン著「ワークシフト」、考え方をシフトさせられました

ワークシフト(ロンドンビジネススクール教授、リンダ・グラットン著)という著書、「もっと早く読んでおけば良かった」と言うのが最初の率直な感想でした。

作家でブロガーのちきりんさんと言う方やビジネスユーチューバーの何人かの方がお勧め本という事で薦められていたので、私も気になって読んでみましたが、2012年(初版)の時点でこれだけ未来の事を予測して、しかも実際2020年の今、本の中で書かれているとおりになっている事ばかりなので、おそらく本の中で想定している2025年は、人も社会もそのような方向に進んでいるんだろうなぁと思っています。

もちろん、全てを鵜呑みにする必要は無いと思いますが、私にとっては、今後の自分自身の行動の指針になる事が沢山書かれているので、たまに読み返して軌道修正をしながら生きていく必要があるのかな、と言ったバイブルのような本になりました。

未来を形づくる五つの要因

まずは、未来を形作づくる五つの要因を提示し、そこで自分の未来予想図を考えるキッカケを与えてくれます。

そこで挙げられている五つの要因は以下の通り

要因1:テクノロジーの進化

要因2:グローバル化の進展

要因3:人口構成の変化と長寿化

要因4:社会の変化

要因5:エネルギー・環境問題の深刻化

私は個人的に、スティーブジョブズ氏が世に生み出したアイフォンは画期的な発明だと思っていまして、それを後押しするような通信インフラの発展と様々なアプリケーションの開発、インターネットサービスと決済手段の普及が、特に個人の生活を一変させたと考えています。

アイフォンに限らず、これからも様々なテクノロジーの進化が進むと思いますので、今どのような技術があって何ができるのか、個人の生活の中でも自分が関わる仕事の中でも常に意識しておかなければならない事なのではないでしょうか。

リンダ・グラットン教授のスピーチもお勧めです

まずここで、ワークシフトの著者、リンダ・グラットン教授の12分のスピーチを紹介させて頂きます。

これを見ると、働き方をシフトする必要性がヒシヒシと伝わってくると思います。

第一のシフト:ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ

第二のシフト:孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ

第三のシフト:大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ

以上がリンダ・グラットン教授の掲げられている働き方の3つのシフトになります。

上記の動画を見ればおそらく、ワークシフトという本を手に取って読みたくなってしまうとは思いますが、本の中で印象に残ったフレーズと、私なりの感想を一言添えてみたいと思います。

五つの要因と、何人かの事例を挙げて現在の姿と将来の姿(ストーリー)を想像し、その上で働き方や生き方、考え方をシフトする必要性を説いています。

本:「2010年の段階ですでに、企業向けのテクノロジーと個人向けのテクノロジーの境界線がぼやけ始めている。~会社のオフィスより、自宅のテクノロジー環境のほうが充実しているケースも珍しくない。」

コメント⇒2020年はコロナウイルス感染問題の影響で在宅勤務を導入する企業が増え、職種にもよりますが、各個人が自宅でも仕事ができるのは当たり前という前提ができてしまったので、各個人の働き方は大きく変わっていくでしょうし、会社の諸制度も各個人の働き方に合わせた変化が求められるようになると思います。

本:「明らかになりはじめたのは、先進国で大散財の時代が終わり、大倹約の時代がやってくるということだ。~消費者は失業と資産減少を恐れて、これまでより安い商品やサービスに乗り換えるなど、支出を減らす傾向が目立つようになった。」

コメント⇒ユニクロやダイソーの商品が売れていることが何よりの証明。本当に必要なものにはそれなりの支出をする人も、毎日使うような当たり前のものにはお金をかけなくなってきています。

実際に私も、アンダーシャツ、パンツ、靴下などは、毎回ユニクロで同じものを買っています。

でも、自分の好きなビールとか、家族との食事には、財布の許す限り使えるお金の最大限を使うようにしています。

本:「(気候変動に関する政府間パネル:IPCC)によれば、高温にまつわる要因で命を落とす人が増えたり、感染症の流行が拡大したりするなどの影響がみられるという。」

コメント⇒2020年は、全世界的規模で新型コロナウイルス感染問題が発生し、日本でもここ数年、梅雨の時期や夏の台風の際に大規模な水害が各地で発生するようになりました。今後も自然災害は多くなっていくのではないでしょうか。

本:「人々の共感の精神が強まり、家族や身近な人達だけでなく、国籍や文化が異なり、一度も会ったことがない人達の力になろうとする人が増える。愛情と仲間意識と社交性と共感が人間の基本的な性質になっていくのだ。」

コメント⇒インターネット環境の発展と個人スマートフォンの爆発的な普及により、ツイッターやインスタグラムなどの各種SNSでの個人による情報発信が増え、ツイッターで呟いた事が5分後には数万人に読まれている、そんな時代になってしまいました。個人が世界各国の人と秒速でつながるような時代なので、国籍や文化を越えたコミュニケーションは益々当たり前になっていくと思います。もしかすると、数十年後には、地球上から戦争が無くなる可能性もありますよね。

本:「この会社(想像上の会社)は同業の多くの企業に先駆けて、社員が仕事のスケジュールを自分で決められる制度を導入している。」

コメント⇒サイボウズの100人100通りの働き方、働き方宣言などが既に有名な制度ですが、本業(会社員としての仕事)+副業を行うような事も当たり前になるでしょうし、仕事のスケジュールを自分で決められるというのはワークライフバランスの充実という観点からも必要だと思っています。私が勤務する会社でもこのような考え方が当たり前になっていって欲しいです。

本:「2020年代に入って管理職に就くY世代(2025年に30歳~45歳ぐらいになる人)の多くが大切にするのは、ワークライフバランスだ。~この世代のいちばん手ごわい点は、自分たちの願望を雇用主が満たさない場合に我慢する時間がきわめて短いことです。」

コメント⇒やってられないと思ったらスグに会社を辞めて転職していってしまう人が増えるんだろうなー、と個人的には思っています。というのは、私自身が50歳にして既に7回の転職をしてきているので、今は転職市場という市場が当たり前に形成されていますし、これからは人生のうちに一度や二度や三度の転職は当たり前という時代になっていきますので、企業の人事部門は大変になるんだろうなーと思います。という私も、人事の仕事をやっているのですが・・・

本:「家庭生活と職業生活の両面に関して、社会で許容される生き方の選択肢が広がる可能性が高い。~すべての人に一つの共通の道筋しか認めないキャリア観が崩壊して、一人ひとりが自分の利害や願望に沿ったキャリアを築きやすい時代がいよいよ本格的に訪れつつある。」

コメント⇒いままでは、会社のために自分の私生活を犠牲にするのは当たり前、という美徳観がありましたが、これからは、自分の人生、自分の家族など、個を主張する人が益々増えていくと思われますので、逆に会社組織としては、個を尊重する考え方に変わっていかなければ、有能な人材を確保できなくなってしまうと思います。

本:「2025年には、世界中で何十億人もの人たちがミニ起業家として働き、他のミニ起業家とパートナー関係を結んで、相互依存しつつ共存共栄していく仕組み築くようになる。特定の大企業ではなく、こうしたミニ起業家たちのエコシステムが市場の方向性を大きく左右するようになる。」

コメント⇒2020年の時点ですでに、様々な職種のフリーランス、ユーチューバーやブロガーなどが個人の力で稼ぎ、さらにお互いの強みを生かしたパートナー関係やネットワークを築いて市場を形成していると思います。

本:「世界中の企業でピラミッド型の組織構造が崩れ、全員が毎日午前9時から午後5時まで働くという勤務形態が揺らぐ。」

コメント⇒もう揺らいでますね。例えば私の場合、フレックスタイム制や在宅勤務制度は当たり前、週休3日(もちろん給料はそれに応じて)の勤務を選択できる会社があってもいいと思いますし、自分が勤務する会社の人事制度に取り入れたいとも思っていますが、週休3日についてはまだ、上司に理解してもらえていません・・・

本:「新しい専門分野に精力的に取り組んで技能を高める時期、仕事のペースを緩めて自分の人生についてじっくりと考える時期、仕事を中断して勉強に専念する時期、ボランティア活動に集中的に携わる時期、こうした様々な時期がモザイク状に入り組むのがカリヨン・ツリー型のキャリアだ。~カリヨン・ツリー型のキャリアを実践すれば、自分のエネルギーや関心の変化に合わせて、様々な働き方や職種の選択肢を柔軟に選びやすい。」

コメント⇒転職が当たり前の時代になっているので、物理的には可能な事ではあると思います。が、充分な貯蓄がないと実際には実現することは難しいので、まだまだ先の話しになってしまうのではないかと思います。が、自分の子供には、このカリヨン・ツリー型のキャリア形成を実践させてあげたいとは思っています。

私の場合、産まれてから今までの人生のステージによって、少なくとも土日の会社休みの使い方については、その時々で力を入れて取り組んでいた事は違いますが、大学を卒業して結婚するまでは、遊んだり勉強したり自分のやりたい事ばかりやっていて、子供達が産まれてからそれぞれが中学生になるまでは土日は子供達のクラブ活動の付き添いやイベント中心、そして子供達が中高生になって手がかからなくなった今は、自分自身の業務スキルを高めるために土日の殆どの時間を自己研鑽やパソコン作業に費やしていますし、フリーランスとか独立起業も視野に入れて努力を続けています。

本:「働き方を選択する際は、なにを優先させ、なにを諦めるかを決めなくてはならない。」

コメント⇒若い頃は仕事を優先させて、平日の残業や土日出勤での仕事を当たり前のようにやっていましたが、特に家族ができてからは、やはり家族と過ごす時間や、さらに自分を成長させるための時間を重視するようになりました。なので今は、物理的には会社時間が一番多く、次に土日の自分の自己研鑽の時間となっていますが、気持ち的には家族第一、家族の幸せのために、色々な物事に取り組んでいるという考え方になっています。また、60歳から70歳になる頃には、地域ボランティアや社会貢献活動にも力を入れたいと思っています。

本:「そのジレンマにこそ、あなたが光り輝くチャンスが隠れている。五つの要因が働き方の常識を土台から揺さぶる結果、自分の人生を自分自身で形づくれる可能性が大きく開ける。組織の中で人間らしい性質を押し殺して生きる必要はないし、会社という大きな機械の歯車の一つとして生きる必要もない。自分で選択をおこない、選択の結果に責任をもてるようになる。そういう生き方を選択するために避けて通れないのが、自分の感情を受け入れ、欠点を率直に認めること。そして、ぬるま湯に浸かったままでよしとせず、リスクを背負い、勇気をもって行動することだ。」

コメント⇒もう組織のために自分の人生を犠牲にするのは止めましょう。ただし、会社員として仕事をして収入を得るためには、やはり会社のために貢献することが大前提になりますので、自分自身の技能(スキル)は高め続けつつ、個人の生活と会社生活をバランスさせるワークライフバランスという考え方も重視しながら、職業生活を送っていくべきだと思います。

本:「自分がどういう人間なのか、人生でなにを大切にしたいのかをはっきり意識し、自分の前にある選択肢と、それぞれの道を選んだ場合に待っている結果について、深く理解しなくてはならない。そのためには、自分が望まない選択肢にきっぱりノーと言う勇気が必要だ。自分が大切にしたい要素を優先させる職業生活を送れる場を積極的に探す姿勢が必要だ。「普通」でありたいと思うのではなく、ほかの人とは違う一人の個人として自分の生き方に責任をもち、自分を確立していく覚悟が必要だ。」

コメント⇒まずは組織や社会に必要とされるために自分自身の価値を高め続けることが大前提になりますが、その上で、自分はどのような人生を送っていきたいのかを、決めると言うよりかは、考え続けることが大事になるのではないでしょうか。学生時代、独身時代、結婚してからの子育て優先時期、子育てが一通り落ち着いてまた自分のやりたい事をやれる時期、とりあえず定年を終えてその後の人生充実期など、人それぞれ、ライフステージによって物の感じ方も考え方も変わっていくと思いますので、やはり、その時々で思考停止せずに考え続ける事、それが一番大事なことなのではないかと思います。

訳者あとがき

この訳者あとがきの部分で、本の内容が全て簡潔にまとめられていますので、必ずそこまで読むことをお勧めいたします。

ワークシフトを読んでの感想

自分はいま50歳の年齢になり、特に大きなケガや病気にかかることがなければ、これからまだまだ20年、30年と生きていく事になると思いますが、愛する伴侶と一緒に楽しく幸せな人生を送っていきたいと思っています。そのために必要な職業選択を、これからもしていく必要があると思いますが、子供達に対しては、ぜひカリヨン・ツリー型の人生を送っていってもらいたいと思いますし、そのために大いに自分自身と向き合って考えることもして欲しいですし、そのような環境を作ってあげるのが親の役割だと思っているので、やはり、一生懸命仕事をしてお金を稼がなければならないという現実も認識しつつ、働き方や考え方をしっかりとシフトしていきたいと思いました。